血塗れの真っ赤な唇が紡ぐ

 

あいしてる

 

 

 

11.恋に恋に恋に恋に恋に恋に恋に恋に恋に恋 に

   そんなものに現を抜かしているような私に見えます?

 

 

浴びた赤い雨は全身を染めてべたべたと纏わりついて酷く気持ちが悪い。

いつまで経っても慣れないその感触にアッシュはせめてもと袖口で乱暴に顔を擦った。

だが同じく血に塗れた衣服ではろくに拭えもしない。やはり赤く染まったままであろう面にアッシュは小さく舌を打つ。

「アッシュ」

背後から掛けられた声は少し離れた場所で襲撃者を屠っていた男のもの。振り向けば白いままの師の姿が目に入り、自身の未熟さを露呈させられたアッシュは顔を背けてしまう。

「どうした?」

「別に」

さくりさくりと雪を踏みしめて近付いてくる男は何もかも見透かしたかのように笑い、アッシュの血に濡れた面貌をその浅黒い肌色をしたままの手を伸ばして優しく拭った。

付着した不快な粘液にも顔を顰める事無くヴァンはそのまま愛惜しげに両の掌で、まだ甘い輪郭を残す頬をゆっくりと持ち上げる。

「やはりお前にはその色がよく似合っている」

「嬉しくなんかねぇ」

「そう言うなアッシュ。私はお前の髪も、その二つ名も気に入っているのだ」

満足げに笑うヴァンの顔が近付くのにそっと視界を閉ざしたアッシュは、切れそうなほどの寒さの中で、柔らかく触れた灼けるような熱に熔かされる。

「はっ…ヴァ…ンぅ」

何処の誰とも知らぬ、今しがた命を奪った人間の鉄錆た血の味を、蹂躙するヴァンの舌によって余す所なく口腔すべてでもって味わう。

アッシュが耐え切れずに吐息を苦しげにもらした事でようやく離れた男の口元は、赤に塗れてしまっていた。それにアッシュは自分の腕をヴァンの太いがっしりとした首に廻し、爪先だって顔を寄せると舌を伸ばして舐め取っていく。

支えるように未発達な細い腰に腕をまわして抱き寄せるヴァンの衣服は、アッシュの鮮血に塗れた身体と密着したせいでやはり赤く染まる。

それに今更ながら気付いたアッシュが離れようとするが、男の腕はびくともせずにいつまでも捕らえている。

「っおい!汚れるぞっ」

「かまわぬよ」

耳朶を弄るように低く囁かれ、再び引き寄せられれば最早そのような事を気にするはずもなく。

冷えた大気に真っ白な水分を飛ばす血の海のなか、ただ互いの熱に溺れた。

 

 

 

 

充分過ぎるほどに見えます、師匠。教官も厭きれかえってるよ

わったしはなにか勘違いをしてると思います。

師弟を

何でこの人らこんなにラブラブ?

しかも雪国幼馴染より先に雪の中ネタってどうよ

ちなみに小ネタに落とそうと書いていて、思ったよりも長くなったのでこっちへ